2011年4月30日土曜日

即戦力の磨き方

即戦力の磨き方 【著】大前研一 PHPビジネス新書


この著書の中では、ホリエモン騒動は時代の変化を位置早く察知した若者が起こした明治維新のようなものであり、ホリエモンや楽天の三木谷浩史といった人たちは、旧秩序にこれまでにないやり方で立ち向かっていった坂本龍馬などの維新志士に例えられている。そして、これから必要になってくるのは、これら維新志士が破壊した旧秩序の上に新しい秩序、モデルを構築できる福沢諭吉や伊藤博文のような経営者でありビジネスパーソンであると述べられている。
そして、こういった人材に必要なスキルとしての実践力、即戦力を題材として扱っている。

また、日本のビジネスパーソンは、世界標準より20年遅れていると述べ、日本のビジネスパーソンは会社内の評価を上げるのではなく、外部とも比較して、自分にどのようなスキルがあり、評価があるのかを考え、勤めている会社がある日突然なくなってしまっても身一つできちんと評価されるようにならなければならないと述べている。それがすなわち、プロフェッショナルな人材になるということである。

そして、プロフェッショナルな人材には「語学力」「財務力」「問題解決力」が必須であると主張している。

「語学力」・・・ここで言う語学力とは英語のスキルのことである。現在最も経済力があるのはアメリカであり、そのため多くの国がアメリカと商売をするために英語を話すようになった。自国内に資源が豊富にある国は、英語が話せなくてもそれら目当てに外からお金が入ってくるのであまり英語に力を入れる必要はないし、中国のように安い人件費を売りにしている国はそこまで英語がしゃべれなくてもなんとかなる。しかし日本の場合は昔のように人件費も安くはないので世界の生産拠点にはなれない。サービス業をするにも世界を相手にするにはコミュニケーションスキルは必須となるので、英語のスキルが必要となる。

「財務力」・・・著書のなかでは、資金を特に金利の安い日本の銀行に預けておくよりも、もっと株式投資にまわすべきだと述べられている。日本の定期預金では金利は0.03%であり、500万円預けたとしても30年で504万円にしかならないが、株は世界標準で年利10%であるので、1年間10%で運用できればそれだけで550万円となる。また、資産は分散させるべきだという考えからも、株式を利用するのは得策だと言える。


「問題解決力」・・・重要な決定を思いつきで行ってしまうことをさけるためにも、この力は必須である。そのためにも、「問題はどこにあるのか」、「その本質はどこにあるのか
」といったことを追求していける「質問力」が必要となる。著書の中での問題解決のプロセスは、
「問題の本質を探すために、なぜその問題が起こるのかといった疑問を追求する」
->「その問題の発生する原因に言及して、何をどうすればその原因を排除できるかの仮説を立てる」
->「立てた仮説が実際に正しいかを検証し、仮説の修正を繰り返す」
という流れである。


著書では勉強法に関しても言及されており、そこでは「答えを習う」より「答えを考える」ことに重きを置くように主張している。そして、自分の出番ではなくてもいつでも代われるように常に考えることをやめないでいるべきだと述べている。

数学的思考の技術

数学的思考の技術 不確実な世界を見通すヒント 【著】小島寛之 ベスト新書


第1部では、実社会においてどのように数学的な思考が役立てられるのかが述べられており、第2部ではより経済的な内容が述べられている。第2部は少し専門的な用語も出てきていて、難しい内容となっていた。最後の第3章では、村上春樹の小説が数学的な思考から書かれているという考えをもとに、その小説を読み解いていくといったものになっている。
第1部はまだ身近な話題が扱われておりある程度は実用的であったが、第2部はほぼ経済学を学んでいる感覚にさえなった。第3部は村上春樹の小説を読んだことのない自分にとっては最後までよく理解しきれずに終わってしまった。