もっともやさしいゲーム理論 【著】島津祐一 日系ビジネス文庫
ゲーム理論の基本的な内容を数式を使わずにできるだけ簡単に説明している。
具体例を豊富に使っておりとても理解しやすいが、シンプルではあるがいくつかグラフを使っていて、それらのグラフ内における数値を計算しているので、読んでいて少し混乱してしまう場面もあった。
序章 「ゲーム理論」とは
ゲーム理論とはどういったものかということを、いくつかのゲームの例を用いて説明した後、ゲームをいくつかの特徴からパターン分けし、著書で取り上げている ゲームのパターンを簡単に説明している。
第1章 よりよく勝つあるいはより少なく負ける
ゼロサム・2人ゲームで、いかにして最善の手を導くかを説明している。ここで著書いわく、ゼロサム・2人ゲームの本質は、最小値を大きくしようとする力と最大値を小さくしようとすることのせめぎ合いであり、ゲーム理論における最善の手とは、利益の期待値が高い手ではなく、最悪の状態を必ず回避する絶対に負けない手である。この最善の手の解は、鞍点が存在するとき、鞍点となる。
第2章 複数の戦略を混合して利益を高める
ゼロサム・2人ゲームで鞍点が存在しない場合、賭目と呼ばれる値からグラフを作成し鞍点を求める。また、2*nゲームで鞍点がない場合にも、戦略の組み合わせのなかで最も優越している2組の戦略から2*2ゲームに変換し、鞍点を求めることができる。
第3章 樹形図を書く
ある時点で考えられる全ての戦略のパターンを樹形図に表していき、その枝を可能な限り分岐させてのばしていく。その中で、もっとも効果的な戦略を選択する。
第4章 囚人のジレンマを念頭に置け
ポイントは、「裏切り」と「協調」であり、片方が裏切ったとき、両方裏切ったとき、協調したときの利益の値の大小関係によって、囚人のジレンマ、チキン・ゲーム、行き詰まりゲーム、鹿狩りゲームに分けられる。
第5章 夫婦の食い違いを解決する
夫婦の食い違いにおいては均衡点が2つあり、そのいづれかの均衡点に達すると、片方だけの意思では戦略を変えることができない(自分だけが戦略を変えた場合、均衡点以上に利益を増加させることができないため)。また、囚人のジレンマも夫婦の食い違いも協調によって均衡点に達するが、両者の違いは囚人のジレンマでは協調によって達する均衡点が「2人とも自白する」ただ1つであったのに対して、夫婦の食い違いでは、夫に合わせるか妻に合わせるかの2つが存在する点である。
第6章 ゲームの転換を図る
同時ゲームを交互ゲームに変換したり、3人ゲームを2人ゲームに変換意思足りすることで、自分の利益を高める。ここでの例として、「談合」や、先に自分の戦略を宣言することなどが上げられている。また、囚人のジレンマの解決策として、別のゲームを創出して同時進行させ、その相乗的な利益から妥協点を探るという例が挙げられている。
ゲーム理論に関する事前知識を全く必要とせず読めるが、所々専門用語(もちろん解説付きだが)が出てくるので、理解するのに少し苦労する場面もあった。
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