見通す力 【著】池上彰 生活人新書・NHK出版
池上彰が普段行っている情報収集の方法から、集めた情報をもとにどのようにしてこれから起こることを予想しているのかを説明した本。
序章 「見通す力」を使って将来を予測する
今までに実際に起きた出来事をもとに、当時池上彰がそれらの出来事をどのようにとらえ、コレからの成り行きを予測したのかを簡単に述べ、「見通す力」の重要性を主張している。
第1章 「見通す力」はこうして鍛える
今後起こることを予測するテクニックとして、「情報の収集」、「情報の選別」、「仮説の設定」、「仮説の検証」の流れを紹介している。情報収集は、普段私達が利用しているものと同じように、新聞やテレビ、雑誌などのメディアであるが、重要なことは同じメディアを毎日続けてみていくことが大切である。
第2章 見通すための情報収集①
本章では主に新聞の読み方を説明しており、推奨している読み方は隅々までは読まないで気になる見出しのものだけを、別の新聞の記事とも見比べながら読むことである。そして、毎日同じメディアを見て、あれっと思う情報を見つけることが重要である。また、書かれている記事の内容が、「事実」なのか「意見」、「推測」なのかを見分けることも大事である。
第3章 見通すための情報収集②
第2章の方法で取り上げた情報をインターネットや書籍を用いてより深く調べていく。このとき、「定本」を読むと、その分野の背景がわかりそこに無い情報だけを集めれば良くなるので、その後の情報収集が楽になる。
第4章 仮説を設定し、検証してみよう
初めに集めた情報を図に表す。このことで、情報同士の関係がわかりやすくなる。このときポイントとなるのは、図を描きながら自分自身で質問をすることである。次に、この図をもとに予測をし、文章にしたり人に話すことによって形にしていく。こうしてできた仮説は、新しい情報と照らし合わせることで修正していく。
第5章 私はこうして先を見通そうとしてきた
本章では、実際に池上彰が政治や経済の問題を予測した際の考え方の例が記されている。取り上げられているのは、自民党の首相がコロコロ変わってしまった問題や、サブプライムローン問題である。
第6章 「自動車業界」のこれからを見通してみよう
日本や世界の自動車業界のこれからを、自動車業界にとってのマイナス要素、プラス要素と、自動車業界を考える上で欠かせないという要素にわけて考察している。マイナス要素であれば自動車の販売台数が減少してきていること、プラス要素であれば新技術がどんどん開発されていること、欠かせない要素であれば自動車業界の変化の恩恵を受けるのはどういった業界であるのかといったことが上げられている。
著書では、情報収集の極意は毎日同じメディアに目を通すことで、何か特別なことが記事になったときにそれに気づくことができると述べている。また、変わった名前には特に注目し、わからなければその都度調べることが必要だと述べている。章ごとにまとまっていて読みやすかったが、後半は「見通す力」とあまり関係のない内容であったので少し残念。