2011年3月18日金曜日

見通す力

3/16~18
見通す力 【著】池上彰 生活人新書・NHK出版


池上彰が普段行っている情報収集の方法から、集めた情報をもとにどのようにしてこれから起こることを予想しているのかを説明した本。

序章 「見通す力」を使って将来を予測する
今までに実際に起きた出来事をもとに、当時池上彰がそれらの出来事をどのようにとらえ、コレからの成り行きを予測したのかを簡単に述べ、「見通す力」の重要性を主張している。

第1章 「見通す力」はこうして鍛える
今後起こることを予測するテクニックとして、「情報の収集」、「情報の選別」、「仮説の設定」、「仮説の検証」の流れを紹介している。情報収集は、普段私達が利用しているものと同じように、新聞やテレビ、雑誌などのメディアであるが、重要なことは同じメディアを毎日続けてみていくことが大切である。

第2章 見通すための情報収集①
本章では主に新聞の読み方を説明しており、推奨している読み方は隅々までは読まないで気になる見出しのものだけを、別の新聞の記事とも見比べながら読むことである。そして、毎日同じメディアを見て、あれっと思う情報を見つけることが重要である。また、書かれている記事の内容が、「事実」なのか「意見」、「推測」なのかを見分けることも大事である。

第3章 見通すための情報収集②
第2章の方法で取り上げた情報をインターネットや書籍を用いてより深く調べていく。このとき、「定本」を読むと、その分野の背景がわかりそこに無い情報だけを集めれば良くなるので、その後の情報収集が楽になる。

第4章 仮説を設定し、検証してみよう
初めに集めた情報を図に表す。このことで、情報同士の関係がわかりやすくなる。このときポイントとなるのは、図を描きながら自分自身で質問をすることである。次に、この図をもとに予測をし、文章にしたり人に話すことによって形にしていく。こうしてできた仮説は、新しい情報と照らし合わせることで修正していく。 

第5章 私はこうして先を見通そうとしてきた
本章では、実際に池上彰が政治や経済の問題を予測した際の考え方の例が記されている。取り上げられているのは、自民党の首相がコロコロ変わってしまった問題や、サブプライムローン問題である。

第6章 「自動車業界」のこれからを見通してみよう
日本や世界の自動車業界のこれからを、自動車業界にとってのマイナス要素プラス要素と、自動車業界を考える上で欠かせないという要素にわけて考察している。マイナス要素であれば自動車の販売台数が減少してきていること、プラス要素であれば新技術がどんどん開発されていること、欠かせない要素であれば自動車業界の変化の恩恵を受けるのはどういった業界であるのかといったことが上げられている。

著書では、情報収集の極意は毎日同じメディアに目を通すことで、何か特別なことが記事になったときにそれに気づくことができると述べている。また、変わった名前には特に注目し、わからなければその都度調べることが必要だと述べている。章ごとにまとまっていて読みやすかったが、後半は「見通す力」とあまり関係のない内容であったので少し残念。


2011年3月17日木曜日

もっともやさしいゲーム理論

3/15~17
もっともやさしいゲーム理論 【著】島津祐一 日系ビジネス文庫


ゲーム理論の基本的な内容を数式を使わずにできるだけ簡単に説明している。
具体例を豊富に使っておりとても理解しやすいが、シンプルではあるがいくつかグラフを使っていて、それらのグラフ内における数値を計算しているので、読んでいて少し混乱してしまう場面もあった。


序章 「ゲーム理論」とは
ゲーム理論とはどういったものかということを、いくつかのゲームの例を用いて説明した後、ゲームをいくつかの特徴からパターン分けし、著書で取り上げている ゲームのパターンを簡単に説明している。

第1章 よりよく勝つあるいはより少なく負ける
 ゼロサム・2人ゲームで、いかにして最善の手を導くかを説明している。ここで著書いわく、ゼロサム・2人ゲームの本質は、最小値を大きくしようとする力と最大値を小さくしようとすることのせめぎ合いであり、ゲーム理論における最善の手とは、利益の期待値が高い手ではなく、最悪の状態を必ず回避する絶対に負けない手である。この最善の手の解は、鞍点が存在するとき、鞍点となる。

第2章 複数の戦略を混合して利益を高める
ゼロサム・2人ゲームで鞍点が存在しない場合、賭目と呼ばれる値からグラフを作成し鞍点を求める。また、2*nゲームで鞍点がない場合にも、戦略の組み合わせのなかで最も優越している2組の戦略から2*2ゲームに変換し、鞍点を求めることができる。

第3章 樹形図を書く
ある時点で考えられる全ての戦略のパターンを樹形図に表していき、その枝を可能な限り分岐させてのばしていく。その中で、もっとも効果的な戦略を選択する。

第4章 囚人のジレンマを念頭に置け
ポイントは、「裏切り」と「協調」であり、片方が裏切ったとき、両方裏切ったとき、協調したときの利益の値の大小関係によって、囚人のジレンマ、チキン・ゲーム、行き詰まりゲーム、鹿狩りゲームに分けられる。

第5章 夫婦の食い違いを解決する
夫婦の食い違いにおいては均衡点が2つあり、そのいづれかの均衡点に達すると、片方だけの意思では戦略を変えることができない(自分だけが戦略を変えた場合、均衡点以上に利益を増加させることができないため)。また、囚人のジレンマも夫婦の食い違いも協調によって均衡点に達するが、両者の違いは囚人のジレンマでは協調によって達する均衡点が「2人とも自白する」ただ1つであったのに対して、夫婦の食い違いでは、夫に合わせるか妻に合わせるかの2つが存在する点である。

第6章 ゲームの転換を図る
同時ゲームを交互ゲームに変換したり、3人ゲームを2人ゲームに変換意思足りすることで、自分の利益を高める。ここでの例として、「談合」や、先に自分の戦略を宣言することなどが上げられている。また、囚人のジレンマの解決策として、別のゲームを創出して同時進行させ、その相乗的な利益から妥協点を探るという例が挙げられている。

ゲーム理論に関する事前知識を全く必要とせず読めるが、所々専門用語(もちろん解説付きだが)が出てくるので、理解するのに少し苦労する場面もあった。